皆さん、『灰の水曜日』をご存知でしょうか?
今年は3月5日が『Ash Wednesday』(灰の水曜日)でした。
そのため昨日はボストンでもいたるところで、額に黒い十字架が描かれた人を見かけたかと思います。
この日はキリスト教徒にとって、最も重要な祝日である「復活祭」の40日前の水曜日です。
復活祭(イースター)はイエス・キリストが十字架にかけられて亡くなり、3日目に復活したことを記念する日ですが、毎年、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に行われるため、年によって日付が変わります。
そして復活祭の前の40日間の準備期間は四旬節と呼ばれ、その四旬節の間は断食が行われます。
四旬節というのは「40日の期間」という意味ですが、実際には復活祭の46日前の水曜日から始まり、日曜日は数に入っていません。日曜日に限り、断食をしなくても許されるためです。
「復活祭の46日前の水曜日」それが灰の水曜日。断食が始まる日で、この日に司祭が信者の額に灰で十字を描きます。
司祭は前年の復活祭の際に使用された棗椰子(ナツメヤシ)の枝や棕櫚(しゅろ)の枝を燃やした灰を使用し、信者の額にしるしをつけるのですが、これは灰が昔は石鹸の代用品として使用されていたため、穢れを落とす、人の罪が償われるといった意味もこめられているそうです。
また灰は死を意味するため、人間は最終的には命を落とし、塵になっていくという儚さも示唆しています。
この断食の期間は、肉類を食べない、また1日に1度だけ十分な量の食事を取る事が許されていますが、あとは朝と夜にわずかな食事のみに制限されているそうです。
神に対しての祈り、自分自身に対しての節制、さらに他人に対する慈善の3つを推進するのが四旬節の精神であると信じられており、多くのキリスト教信者はこの期間に娯楽を自粛し、慈善活動に積極的に参加するそうです。